レスラー – The Wrestler – (個人的評価:★★★★)

上映館も少ない中、ようやく有楽町のシネ・シャンテで「レスラー」を観ることができました。

レスラーの悲衰がよく描かれていると思います。
『自分の一挙手一投足に観客が沸く』のが一種の麻薬になり、ステロイドに走る、より観客の声援に応えるべくハードコアに走ったりするのも、自分がより輝くためであるのですが、リングでしか輝くことができなくなっているのも確かで、ミッキー・ロークの生き様にもダブるし、日本やアメリカのプロレス・メジャー団体をお払い箱になったレスラーの現状にもダブります。

ミッキー・ローク=ランディ・”ザ・ラム”ロビンソンだけを描いたのであれば、一介の「レスラー」の悲哀を描いた映画に終わっていたと思うのですが、ストリッパー・キャンディの悲衰も描いているところがこの映画の「深み」にもなっています。
バーに通って、一線を越えたいと思っているランディに対して、頑なに一線を超えるのを拒み続けるキャンディも「プロ」であり、ドサ回りでもプロレスを続けて、もう一度メジャーのマットに上がりたいという夢を持ち続けるランディも「プロ」であり、そのキャンディがランディの「プロ魂」に共感を覚えるのもわかる気がします。

ミッキー・ローク、マリサ・トメイも映画界(実生活)で栄光と挫折を経験したからこそ、ランディ、キャンディを違和感なく演じることができたのであり、挫折を自分の人生の肥やしとして生かそうと決意して、体当たりでこの作品に取り組んだ意欲がスクリーンから伝わってきたように思いますし、この映画の深い味わいを醸し出しているように思いました。

私には、この映画が「おっさん、おばさん(今風にいうとアラフォー)の応援歌」だと解釈しましたが、観る人によって、受け取り方がさまざまになりそうな映画と思います。

あと、ロードショー中に日本では三沢光晴の「事故死」という悲しいニュースがありました。彼を取り巻く状況はランディほど悪くはなかったですが、この作品を観て、三沢光晴が「リングに立ち続けたい」「自分の意に反してリングに立たなければならない」理由が少しでも理解できた気がします。
改めて、三沢光晴氏の冥福を祈りたいと思います。

参考:
レスラー – goo 映画
レスラー@映画生活

作品の評価:
レスラー(映画ありのまま)
「レスラー」とダメ・ミッキー(大江戸時夫の東京温度)

評価:★★★(ニューヨーク映画祭時のインタービュー記事あり。珍しく評論がよかった)
縦700円


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ハリー・ポッターと謎のプリンス – Harry Potter and the Half-Blood Prince – (個人的評価:★★★)

さっそく「ハリー・ポッターと謎のプリンス」を見てきました。

今回は噂されている次作の『繋ぎ』と見ていましたが、実際に観ても想定どおりでした。
題名にもなっている『プリンス』が劇中で誰かが明らかになりましたが、それがどのような鍵を握っているのかがよくわからず、正体が明らかになっても、いまいちピンと来なかったですね。
『あの人』の誕生秘話の『さわり』はわかりましたが、『プリンス』と『さわり』を明らかにするのに二時間半もかけたのか思えるほど見せ場という見せ場もなく終わったような印象でした。
次作以降の伏線のようなエピソードも本作に入っているのでしょうけど、一見、重要でないようなエピソードも多く、その分、上映時間が2時間半になってしまったと思ってしまうと、もう少しすっきり見せられなかったのかなという気もしました。イマイチだった「繋ぎ」の本作からの次作でどう発展していくのか、2部作の最初をどう持ってくるのか、お手並み拝見ですね。

参考:
ハリー・ポッターと謎のプリンス – goo 映画
ハリー・ポッターと謎のプリンス@映画生活

作品の評価:
ラブ☆コメ映画の金字塔w「ハリー・ポッターと謎のプリンス」(好き。)
ハリー・ポッターと謎のプリンス 【称号:凡作 】(映画細胞~CinemaCell)

評価:★★★(800円だからさすがに写真は豊富。それ以外はイマイチ)
縦800円


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ノウイング – KNOWING – (個人的評価:★★★★)

ノウイングを観てきました。

アメリカでは批評家のウケが悪く、それに反して、まずまずヒットした作品だったそうなのですが、個人的には、映像的なインパクトがかなりあって、それ以降の映像をリアルに感じてしまい、すべて受け入れてしまう妙な説得力がある作品でした。

CMや予告編の航空機の墜落、地下鉄がホームに突っ込むシーンがハイライトにはなるのですが、現場で立ち会ってしまったようなそんな臨場感、惨事を防げずに、何もできなかった無力感を主人公と共有してしまう妙な説得力がありました。以降、目の前で繰り広げられる映像は、額面以上の妙なリアル感を感じるようになったので、作品にグイグイ引っ張られる感じが心地よく、ラストもどう「オチ」をつけるのかと思いましたが、納得の行くものだったと思います。

あと、劇中に流れる「クラシック音楽」も効果的だったと思います。
(あとで調べると「ル・ポネ101さんの記事」にベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章で「落下の王国」でも使われていたとのことで、どこかで聞いたことがある曲だと思いました。)

ニコラス・ケイジの作品では、「NEXT」も面白かったですが、本作も彼の代表作の一つになりうるかもしれないと思います。

参考:
ノウイング – goo 映画
ノウイング@映画生活

作品の評価:
ノウイング  ▲(どんくらの映画わくわくどきどき)
ノウイング(すたほ~映画・本の部屋~)
ノウイング(ル・ポネ101)

評価:★★★(写真は豊富。ニコラス・ケイジのインタビュー記事あり。スーパーフレアとか劇中に出てくるキーワードの説明が欲しかった。)
変型600円


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ウィッチマウンテン/地図から消された山 – Race to Witch Mountain – (個人的評価:★★★)

さっそく、「ウィッチマウンテン/地図から消された山」を観てきました。

個人的には、元WWEのザ・ロックことドゥエイン・ジョンソンが主役ということで、楽しみにしていたのですが、役柄が「刑務所上がりのタクシー運転手」ということで、元レスラーというところをあまり活かせておらず、華がない地味な主役だったような気がしました。

唯一「お~っ」と思ったのは、「ウイッチマウンテン」から「物体」が飛び去るシーンで「未知との遭遇」のデビルズタワーからマザーシップが出現したときとそっくりなので、懐かしく思いました。

ストーリーは面白かったのですが、メリハリがなく淡々と進行していくので、映画というよりは、遊園地等のアトラクションを見ているようでした。子供連れで行く映画としては、ハズレではないかもしれません。編集も雑でシーンの切り替わりが「B級映画」のようにブツ切りになっている場面も多々あったと思います。

ジェットコースター・ムービーのようなテンポよいノリで進めていったということなのでしょうけど、1時間40分くらいなので、もうちょっと、登場人物のエピソードを盛り込むなど、ストーリーに深みを持たせてもよかったと思います。

ラストの雰囲気的には、次回作も製作するような含みを持たせたように感じましたが、「ザ・ロック」がもっと弾けないと厳しいと思いました。

参考:
ウィッチマウンテン/地図から消された山 – goo 映画
ウィッチマウンテン/地図から消された山@映画生活

作品の評価:
ザ・ロック(元)と、サイキック・ティーンエージャー(えんたほ)
【映画評】ウィッチマウンテン/地図から消された山(未完の映画評)

評価:★★★(写真はそこそこ。各出演者のインタビュー記事あり)
縦600円


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